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[ 読書/BLコミック ]

円陣闇丸『天国へ行けばいい』

 これは…!スゴイ!良い!

 どうもあたしは、ちょっとSFめなBL、が大好きらしい。
 前にもどこかで書いたがあたしは寿たらこの「コンクリートガーデン」「クロックダウン」が大好きで、特に後者はかなり好きなのだけれど、この「天国へ」は「クロックダウン」を髣髴とさせてくれる時間ものSFかつBLという感じ。なので、もうちょっと限定すると、あたしはちょっとSFで時間をあつかってるBL作品が好きなのだろうと思う。BLで時間ものSFは、そういえばしょぼいながらも虹創作でやったこともあった(ももいろのサイトの方で)…ということも考え合わせると、もはや大好きなんだろうな、としか…(笑。そういえばもともと時間ものSF自体が好きかも、『リプレイ』とか『夏への扉』とか『果てしなき流の果に』とか『トップをねらえ!』とか…まだあるかな。
 いずれにしても、時間の問題を組み込むと、切ない・どうにもならない物語になりやすいので、すごくBLと相性がいい気がします。

 そんなわけで、元ヤクザ×元ボクサー、事故で命を失ったと思ったら、変な宇宙人が出てきて実験に参加するなら時間を戻すチャンスをあげるわよ、云々。元ヤクザは処女の血を、元ボクサーは男性の○○○○を集めると、試験管一本につき0.1秒がまきもどるということに。

 というあたり、ちょっとトンデモ設定ですが(笑、あとがきにはもともと「エロ」がテーマの作品だった、と書かれていたのでなんだか色々納得。なんていうか、エロがテーマならもっとフツーにポルノ的な設定をすればいいと思うのに、こんな風にSF設定しちゃうところが個人的にはツボでもあるし、そういうところがもしかしたらこの作家らしいとこなのかもとも思った。円陣さんって改めて思い返してみると、ほとんどの作品がSFなんだよね。なんだか意外な気もするけど、だからふつーにお話つくっても、SFがデフォルトな人なのかなあと思ったのですよ。

 で、二人が生きる「世界」への違和感に気付くところとか、元ヤクザの兄貴分の使い方とか、過去の元ヤクザというかつまりヤクザの攻めと今の元ヤクザ攻めのコントラストとか、そういうSF的な面白みがうまくBLの筋にからんでて、とても面白かった。

 ただ、兄貴の記憶の書き方とかびみょうに違和感があるし、SF的にはいろいろ設定あまい気もするけれど、まあそれはそれで。でも兄貴と元ボクサーの関係性は、なんかもうちょっと発展してほしかったなあ。兄貴が不思議なままだ(これは設定的に仕方ないんだけれど。

 あと、書き下ろし後日談が、すごくツボだった。なんというか、時間ものSFとして、設定の使い方があたし好みというか。

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