田村由美『7SEEDS』6
やっと読んだ。やはりやはり、非常に燃えるのです…。
やはりどうしてもナツに感情移入してしまうクセが抜けなくて、まず最初に感じたのは荒巻くんが夏Bと春の物語を繋いだことによるガッカリだった。嵐と花の目覚めた時代が違っていた!という救われん話をどこかで期待しちゃってたんだなあ…(我ながらやな読者だ。
しかし花の病気話辺りからやっと真剣に花に感情移入できるようになって、ていうか病気話は真剣に恐怖で、ああいう思考や行動をする花にすごくリアリティを感じたんだよね。
あと今回の白眉は荒巻くんとハルで、二人ともすごく魅力的にかかれていたと思う。荒巻くんは年をとっても格好いいし(この表紙!カッコイイ!)素直でとてもよろしい。ハルは相変わらず素直じゃなくって、でも犬に懐かれたりするのが面白い。
それから夏Bの方もよかった。みんな髪が伸びてて(笑。ナツが嵐を元気付けようと頑張るのが微笑ましくって「ナツって呼んで下さい!」とやっと言えたナツが可愛いと思ったんだけど、そこですぐさま蝉丸が「アピールしてやな女ー」なんて突っ込み入れてるのではっと冷静になってみたり。それもそうか、正論だなぁって(笑。でもやっぱりナツの成長もいい感じだ。
主に作者のレベルでなんだけど、こういう主人公の頑張りさえ突き放したかんじで描かれているのはよいなぁと思う。あとがきで作者が花と嵐の今後について、どうでもいいかもしれないけど~なんてちゃかしている辺りもライトでよい。過剰な意味づけをしないっていう態度に見えるからかな(『狂四郎 2030』のあとがきとなんとなく比較してしまうな。
そういう意味もふくめて、蝉丸もすごくイイ。はっきりしろよって自分がさんざんいじめてきたナツが、言いたいことが言えるようになってきて、それでも「引っ込み思案なナツ」という彼女のパーソナリティを評価の土台にはしないで、つまり甘やかさないで、一般人と同じレベルでナツを評価して「やな女!」とぶったぎってしまうってのは、すごく良い。実はいろんな場面で気を使っていたり優しかったりする蝉丸のそんなところがすごく魅力的だ。なっちゃん、嵐なんかやめて蝉丸にしときなさい(笑。蝉丸がどう思ってるか分からんけど。