裏コイモモ
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「葉山っ、思い出した!?」
目をあけると、まず泉のどアップが飛び込んできた。傾向は違うけれど、ギイばりの美形がこんな至近距離にあると、なんだか気後れがしてしまう。
「う、うん、全部思い出したよ」
「ほんとに?」
疑わしい顔をしている泉の横から、赤池くんが顔をのぞかせる。
「葉山、去年の文化祭、クラス出し物は何だった?」
「えっと、甘味処だった」
「今年の音楽鑑賞会に来たのは?」
「ビンセント・カマラ」
「ギイの誕生日は?」
「えっ! えーと、七月……だよね、七月の……」
「…………」
「…………」
「……確かに思い出したようだな」
「葉山、恋人の誕生日くらい覚えとけよ!」
うう、我ながら確かに情けないですけどね。泉の怒りの矛先は、どんどん拡散していくらしかった。
「葉山も情けないけど、ギイもギイなんだよ! そもそもギイがわけのわかんないことしてるから、こうやって葉山にヘンな虫がつくんだ!」
「あの、高林く……」
「葉山も葉山だよ! もっとギイにワガママ言ってやればいいんだ!」
「何で高林が怒るんだ?」
「だって、見ていてじれったいったらないじゃん!」
赤池くんはやれやれ、というように首を振ると、ぼくに向き直った。
「何はともあれ、戻ってよかったな、葉山」
「う、うん」
「ギイも心配してるだろうから、会いに行ってやれよ」
「そうだよ! 早くその顔見せにいってやりなよ、葉山!」
「あ、あの」
「何だよ、まだ何か?」
「や、そうじゃなくて。本当、ありがとう、高林くん」
「……お礼なんかいいから、早く行けったら!」
頬を赤くした泉にほとんど蹴り出されるかのようにして、ぼくはゼロ番へ向かったのだった。






-the end [no. 7]-





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「どうせだったら、僕もちゃんとラブラブしたかったなー。
あ、葉山と僕だったら、勿論僕が『攻』になるんだよね?」
なにやらオソロシイことをつぶやきながら、泉は「 i 」と書かれた青紙をくれた。









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