精神分析同好会とやらの部長さんは、突然部屋を訪れたぼくたち三人組に、というか高林くんに、完全に気おされてしまっているようだった。
「だからね、うちの同好会の一・二年に葉山のファンが多くてさ、昔の葉山のことをちらっと話したら、一年生の頃の葉山さんを見てみたい〜なんて言い出してさ、丁度催眠実験をやろうかって話もあったから、じゃあ葉山に実験台になってもらおうかな〜って……」
ギリギリと音がしそうないきおいで、高林くんが眉をつりあげ叫んだ。
「そんなくっだらない理由で、葉山をオモチャにしたのかよ!」
「す、すぐに覚める催眠なんだよ、ほんの数日程度で……」
高林くんの勢いに圧倒されっぱなしの部長さんは、おろおろとそう説明した。
「んな悠長なこと言ってられるか!」
「あ、暗示をつくっておいたから、それをやれば、すぐに思い出すと思う」
「なら、はやく葉山を元に戻せよ!」
部長さんはほとんど泣きそうな顔で、なにやら準備をはじめた。
不思議な香が焚かれ、ぼくは椅子に座らせられた。
「葉山、目を閉じて」
目を閉じると、ひたいに手をあてられ、頭の上をマッサージするように手が動いていく。
いろいろな光景がフラッシュバックのように浮かんでは消えて、やがて……
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