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バイオリンをケースにしまっているぼくのとなりで、真行寺くんは地べたにしゃがみこんで作業を眺めている。
「葉山さん、記憶、早く戻るといいですね」
「うん? そうだね、やっぱり困るね、戻ってくれないと」
真行寺くんは、なぜか少しせつない笑顔で笑った。
「記憶が戻るまで、俺、葉山さんにつくしますから。あ、勿論、戻っても、ですけど!」
あんまりあわててそうつけたすので、ぼくは思わず笑ってしまった。
「ありがとう、真行寺くん」
「俺、本気ですよ。だから葉山さん、いつもそうやって笑っててくださいね」
そう言って、また笑った。
真行寺くんのお日さまみたいな笑顔は、見ているこちらもうれしくなる。
だからぼくも、君にいつも笑っていてほしいと思った。






-the end [no. 6]-




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「葉山さんにカッコイイなんて言ってもらえて、
兼満カンゲキっす……しまった!
カネミツって呼んでもらうの、忘れた!
くそー、折角の機会だったのに!」
なにやら騒ぎながら真行寺くんが手渡してくれたのは「 n 」と書かれた青紙だった。
「俺とのハグ記念とでも、思ってください」






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