裏コイモモ
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「や、や……八津くんっ!」
「思い出した?」
「思い出したって……嘘だろう、こ、こんなの」
「嘘じゃないよ」
思い切りうろたえるぼくに、八津くんは微笑して断言した。
だけど、そんなことを急に言われても。
とてもじゃないけれど、信じられない。ぼくが、八津くん——同性と、同級生とキスしたことがある、だなんて。
それに、もし本当に、こんなことがあったのだとしたら……。
「うん? どうしたの、葉山くん?」
「……だって、八津くんとぼくって、一体……」
「どんな関係か、ってこと?」
八津くんは首を傾げた。
「それも、思い出せないかい?」
「え」
「じゃあ、もう一回してみようか、キス」
「わっ! や、いいです、もう充分です」
ぼくが思わず目を白黒させていると、八津くんは少し残念そうに、身をひいた。
「まあ、いいか。ゆっくり思い出してよ、葉山くん」
「え……?」
「俺もそれまで、付き合うからさ」
「……」
八津くんはにっこり微笑んで、ぼくの手をとって、再び夜の散歩にぼくを促した。
彼の言葉を信じたわけではないのだけれど、なぜだかぼくは、逆らえない。
本当に……一体ぼくたちは、どういう関係だったんだろう。
けれど、あんなことまでされて、決して不快ではなかったのだ、ぼくは。
だから、とりあえず今は。この手にすがるしか、ない……のかな?






-the end [no. 5]-




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「自分で言うのもなんだけれど、俺達なんだかちょっと、いいカンジ?」
八津くんはひとりごちてくすりと笑うと、『 r 』と書かれた青紙をくれた。
「ていうか、原作でもここまでしてるの、俺だけなんだよね……実は」
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