裏コイモモ
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「気にするなよ、不可抗力だろ、記憶喪失なんて。それに、葉山が一番大変なんだし。俺にできることがあれば、何でもするから」
三洲くんはにっこり笑ってそう言うと、準備してあったらしい紅茶を淹れてくれた。
どうやら三洲くんは、すごく親切な人みたいだ。記憶がないのは不安だけれど、同室者が利久じゃないというのも不安だけれど、ぼくは三洲くんを信頼して頼ってもいいのだと、なんとなくそう思えた。
ぼく達は紅茶を飲みながら、のんびりと話をした。
「で、葉山は今、一年生なんだって?」
「うん、そう。一年の、秋までしか覚えてない」
「一年生、ね」
その言葉で三洲くんの目がキラリと光ったような気がしたけれど、気のせいかもしれない。
「困ったなあ、もう三年だなんて。授業について行けないよ、きっと」
「そういうレベルの問題じゃないと思うけど……まあ心配しなくても、そのうち記憶も戻るかもしれないし」
「うん……でも、記憶って、どうしたら戻るんだろう?」
「記憶喪失の原因がわかれば、何か記憶を取り戻すきっかけがわかるかもしれないな」
記憶喪失の原因、か。ぼくは何も思い当たらないけれど。
あ、でも、
「そういえば」





「病院で聴いたんだけど、」

「ぼくはどうして温室なんかにいたんだろう?」

「ぼくを見つけてくれた下級生って?」



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