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病院に着いたのが遅い時間だったこともあり、ぼくは様子見を兼ねて一晩病院に泊まることになった。検査では特に異常がみつからず、入院しているよりも普段どおりの生活を続けた方が記憶が戻るかもしれないということで、翌日の朝、ぼくは祠堂に帰れることになった。
中山先生や担任らしい大橋先生との会話の結果、どうやらぼくは今では三年生になっていること、記憶は一年生の頃に戻ってしまっているらしい…などのことがわかった。
祠堂に戻り、職員宿舎で先生方としばらく話した後、中山先生の連絡を受けた同室者の三洲くんが迎えにきてくれた。部屋は270号室になっているそうだ。三洲くんはぼくを気遣いつつ、部屋へと案内してくれた。
「丁度明日は日曜だし、ゆっくりするといいよ」
三洲くんのことは今まで名前くらいしか知らなかったけれど、にっこりと笑ってそう言ってくれるので、ぼくは少し安心した。
ぼくが三年生になるまでに、どんなことがあったのかはわからない。でも、そう大きな変化はなかったのだろうと、なんとなく思う。だってぼくは——つまり、一年生の当時ぼくは、何の期待もしていなかったのだから。
でも、四月からそんなぼくの同室者を続けているはずのこの三洲くんという人は、どんな人なのだろう。
ぼくは三洲くんとも、利久とのような関係をつくれたのだろうか。
部屋へ戻ると、ぼくは三洲くんにまっさきにこう言った。





*選択肢を選んでください

「ありがとう、三洲くん」

「迷惑かけて、ごめんね」



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