「バッドドリームス 或いは、死神聖闘士の園芸日記」


 あれこれの紆余曲折をへて、おれはサンクチュアリに戻ってきた。
 久しぶりのサンクチュアリは案の定全く相変わらずのうえ、久方ぶりの女神様のご降臨に沸き立ってもいて、おれを心底うんざりさせてくれた。
 おれとしては、またあの陰気な上に死ぬほど退屈な巨蟹宮の主に封じられるくらいなら、この世に戻って来られようが来られまいがどうでもよかった。だが、また死ぬのも多少面倒だったし、アテナの恩着せがましい微笑みに反抗するのももう面倒くさかったから、殊勝に感謝するフリをしておいた。


 まあ、折角だし。教皇の指令だのアテナの命令だのの仕事は適当にやり過ごしておいて、時々サンクチュアリを抜け出して。美味いワインでも飲んで、綺麗なお姉ちゃんと仲良くして――あと何年か、何十年か、そんな風に過ごしてまた死ぬだけだ。本当、どうでも構わない。
 何もかもどうでもいい、それは本当なんだがしかし、久々に戻ってきたサンクチュアリは全く相変わらずで、大いに変わっていた。おれが丹精した薔薇が、大いに狂い咲きをしていたのだ。